日本語教授法の直接法と間接法はどちらがいいのか知りたい人向けです。
海外やオンラインで日本語教師として働くなら、間接法で教えることも必要になるのかな。直接法との違いを知りたい
外国人などに日本語を教える教授法としてよく知られているのが、直接法と間接法。
日本では日本語を日本語で教える直接法が当たり前なので、現地の母国語で教える間接法はどのような感じか分かりにくですよね。
ただ、最近は海外やオンラインで日本語を教える機会が増えてきたので、間接法で教えるスキルが必要になってきていると思います。
そこで、このコラムでは私が日本語を英語を使った間接法で教えていた経験をもとに紹介します。
なお、日本語を間接法で教えるコツを知りたい方は、コチラへ読み飛ばしてくださいね。
日本語教師
プロフィール
「420時間の日本語教師養成講座」を終了して、英語を話す人に教える日本語教師として働いていました。
ニュージーランドにも在住していたこともあり、日本語の楽しさ・素晴らしさを実感しました。
このサイトでは、日本語教師を目指している方向けに役立つような情報をお伝えしています。
さらに詳しいプロフィールは、コチラへ。
日本語を教える直接法と間接法の違い
日本語を教える場合、教授法を大きく分けると下記のような直接法と間接法の2つがあります。
- 直接法:日本語を日本語で教える
- 間接法:日本語を日本語以外の言語で教える
通常、日本語教育界では日本語で日本語を教える直接法が主流です。ただ、国内の日本語学校のなかには英語で日本語を教える学校もあります。
一般的に420時間日本語教師養成講座では直接法で教える教え方しか学びません。
ただ、海外で日本語教師を目指されている方のなかには、文化庁の認定ではないですが間接法で日本語を教える練習をされたことがあるかもしれません。
さらに、オンラインで日本語を教えるなら、学生は学習初心者が多くモチベーションは決して高くないので、現地の母国語で教えられれば選ばれやすいというメリットもあります。
英語で教える間接法の教え方のコツ
授業は場面設定が命だと個人的に思っています。文法事項をひとつは教えるにしても、その文型を使って、実際にどう使うのかを練習するのが一番大事。
なので、場面設定も英語で説明できるように準備しておくのがコツです。
例えば、〜しませんか?を練習するとして、場面は仕事の休憩時間で、仕事が終わった後にご飯やお酒に誘ってください、などと英語で説明できるようにしておくのです。
そうすると生徒さんたちは、クリエイティブですので、自分たちで考えて、少ない語彙を駆使しながらも、なんとか誘おうとがんばってくれます。
出てきそうな単語は事前に確認
あとはでてきそうな単語で、英語がわからない場合は、調べておくぐらいですかね。間接法といっても、そんなに大幅に授業が変わるわけでもありません。
ただ、日本独自の習慣や風習などは英語で説明できるようにしておくといいでしょう。
日本語との言い回しの違いに注意
あとは日本語と英語の言い回しの違いに注意しましょう。例えば、英語だとcomeとgoの使い方が日本と違うことも。日本では「今、行きます」と言いますが、英語だとI am coming.となります。
あとは、あげる・もらう・くれる、なんかも間違いやすいです。尊敬語と謙譲語も混乱する生徒さんがいます。
ただ、教えていると、ああここは皆んな間違えるなということがわかってくるのは直接法も間接法も同じなので、それほど心配することはありません
英語で説明する言い換え力が必要
英語で日本語を教えていると、この単語の日本語の意味は?と想定していないことを聞かれることがあります。
特に、日本語のなかには英語に直訳できない単語や意味も多いので、そのような場合は簡単な英語で説明できる”言い換え力”を身につけてくほうがいいでしょう。
ただ、全て説明するのは大変なので、分からない単語は素直に次の自分への宿題として生徒に伝えましょう。
ただ、間接法にもデメリットがあります。次に、間接法のメリットとデメリットをお伝えします。
間接法で教えるメリットとデメリット
日本語を間接法で教えるメリットとデメリットは、下記のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
無駄な導入をしなくていい 初級者に文法を教えやすい 知らない単語を使いやすい | 質問に回答できる語学力が必要 日本独特な物を説明に苦労する |
日本語を間接法で教えるメリット
間接法のメリットは、無駄に小芝居などを入れてような導入などをしなくてよいことです。子供ならともかく、大人に英語を使わずに文法を教えるのは遠回りだと個人的に思っています。
文法事項だけでもサクッと英語で説明して、生徒さん側でも英語の解説書を読んでもらえばクラスでは実用練習に力を入れることができます。
さらに、間接法では知らない単語をドンドン授業の中で使えることです。英語で単語の意味を説明すればいいだけなので理解がスムーズになります。
これが直接法だと、いちいち新しい単語を絵カードで導入しないといけませんし、勉強した課までの単語しか使えないというルールがあって、授業の準備にすごく時間がかかります。
せっかく使えるような場面設定しても、あぁこの単語も、あの単語もまだ習っていないんだったと使うのを諦めなくちゃいけなかったりするのです。
日本語を間接法で教えるデメリット
一方、デメリットは最低限の語学力がどうしても必要になることです。例えば、生徒も英語など質問をしてくることも多いので、それなりに回答できることが求められるでしょう。
そうなると、文法を英語で説明するなんてできない…と思われる方もいらっしゃると思います。
ただ、授業の場合は『みんなの日本語』にも英語の解説版がありますし、英語で日本語文法を説明した本もあります。
そのため、授業準備でそれらを事前に調べて、教案に書き込んでおけば大丈夫です。
直接法と間接法はどちらがいいの?
結論としては、断然、日本語を教えるなら間接法も教えるスキルがあったほうが絶対にいいです。
私は自分がやっていたからというわけではありませんが、個人的には学習初心者には間接法で教えるほうが上達するスピードが早いと感じています。
特に、私が大事と思うことは実際の生活の場面で使える言語を教えることだと思っています。なので、教科書ででてきた単語しか使わずに授業を進めるのはナンセンスです。
文法の導入にしろ、単語の導入にしろ、直接法はやり方が子供っぽく思えます。忘れがちになりますが、生徒さんは初級だけど、大人です。
日本語学校のなかには英語の使用は禁止という学校もありますが、授業以外で日本語学習者にとって理解が早く進むなら間接法を使ってもらえるほういいでしょう。
さらに、海外やオンライン日本語教師として働くなら、間接法で教える教師が選ばれるのも事実です。
もし実際にどのように間接法で教えているのかを知りたい方は、ココナラでオンライン日本語教師をされている方に聞いてみるのがおすすめです。
間接法の教え方は習うべきですか?
間接法専用の講座とかがあるみたいですが、わざわざ追加料金を払って間接法を学ばなくても、未経験でも採用されたので、大丈夫だと思います。
それより実践で試しながらお金をもらいつつ勉強したほうがいいでしょう。ちなみにTOEICは800点ぐらいでしたが、なんとかしのいでいました。
周りの先生たちは英語ペラペラな方が多かったです。英語はそこまで使わないけど、日本語教育自体がベテランの先生というのもおられて、どちらの先生も人気がありました。
日本では間接法で教える学校が少ないですが、経験があると有利で、差別化できます。結果的に、時給も高くなる傾向がありますね。
最近はオンラインでの授業も増えてきたので、そういった求人でTOEIC730点、1年の教授経験が必要なんてところが増えているように感じます。
オンライン日本語教師に間接法は必要?
日本語学校では直接法で日本語を教えることが主流ですが、オンライン日本語教師では間接法で教えることもあります。もちろん、直接法で教えることもできます。
ただ、中上級レベルになれば直接法のほうがいい場合が多いですが、学習初心者であれば間接法が一番効率がいいでしょう。
例えば、日本人が英語をオンラインで学ぶ時に、日本語が話せる先生のほうが安心できるし分かりやすいという意見もあります。
そのため、オンライン日本語教師で生徒から選ばれるには、日本語以外の言語も使えると有利になります。
私の場合は英語でしたが、中国語や技能研修生が多いベトナム語なんかも武器になるんじゃないでしょうか。
もし実際にどのように間接法で教えているのかを知りたい方は、スキルを売買できるココナラでオンライン日本語教師をされている方に聞いてみるのがおすすめです。
オンライン日本語教師にも役立つ書籍
間接法で日本語を教えている日本語学校で使う人以外にも、オンライン日本語教師にも役立つ書籍を紹介しておきますね。
GENKI
GENKIは、間接法で教えている日本語学校でも採用されているテキストです。シリーズ累計200万以上と圧倒的な人気を誇っています。
みんなの日本語
多くの日本語学校で採用されているのが、「みんなの日本語」です。英語版以外にも中国語やポルトガル語版など他の言語でも出版されています。
NIHONGO FUN & EASY
NIHONGO FUN & EASYは、細かい文法的な解説よりも言いたいことをフレーズ単位で学べる場面シラバスが採用されています。
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日本語を英語で教える間接法まとめ
今回のコラムでは「【直接法と間接法の違い】どちらがいい?日本語教授法を比較」を紹介しました。
ちなみに私が台湾で初級のクラスで中国語を学んだ時は、英語で教える間接法でした。
そのため、日本語のように先生がカードを準備することもなく、淡々と教科書で授業が進んでいって効率的でした。
そういった意味でも日本語学習者にとっても効率よく学習するためには間接法で教えるほうがいいと思います。
ただ、いきなり他の言語で日本語を教えるのには勇気もいるので、直接法と間接法の良いところを取り入れていけばいいのではないのでしょうか。