【海外で日本語教師になるには?】必要資格と求人の見つけ方

海外 日本語教師

海外で日本語教師になる方法を知りたい人向けです。

海外で日本語教師として働くには資格が必要なのかな。求人の見つけ方も知りたい。

日本語教師を目指している人のなかには、将来、海外で働いてみたいという方もいらっしゃると思います。

もし、海外で日本語教師として働くなら、求人はどうやって見つければいいのでしょうか。

さらに、実は海外で働くには特別な資格が必要になることも。

そこで、このコラムでは日本語教師が海外で働くために知っておくことを紹介します。

目次

日本語教師が海外で働くためのワークビザ

日本語教師が海外で働くための資格としては、まずはワークビザ(労働者ビザ)が必要となります。

特に、現地国で働くことができるワークビザがなければ、一般的に給料が発生する仕事につくことができません。

もちろんボランティアで日本語を教えることに問題はありませんが、それであれば働くことにならないですよね。

そのため、ワークビザを取得するには、主に下記のような方法があります。

  • 現地校から査証をサポートしてもらう
  • ワーキングホリデービザを取得する
  • パートナービザ・永住権を利用する

現地校から査証をサポートしてもらう

日本に在住している時から海外の求人に応募して、現地校からビザをサポートしてもらいます。

一般的に海外の求人ではワークビザのサポートがあることが一般的です。

もし、海外の求人に応募する際には必ず現地校からビザのサポートが受けられるか確認しておきましょう。

ワーキングホリデービザを取得する

ワーキングホリデーでは原則として30歳以下であれば、国や地域が限定されますが、海外で1年間働くことができる特別なビザです。

基本的に1年間限定という制約はありますが、そのまま現地校でワークビザに切り替えられる場合もあります。

現地校としては採用してからサポートができるか判断できるので、ワーホリが活用できるかを検討するべきでしょう。

パートナービザや永住権を利用する

すでに現地の方と結婚されている方や、現地で働いてる方のサポートを受けてパートナービザを利用する方法です。

ただ、配偶者ビザとも呼ばれることがありますが、国や地域によっては結婚していなくても(事実婚)ビザが発給されることもあります。

もし、永住権を持っていれば制約が少なく、海外で日本語教師として働くことができるでしょう。

では、海外で日本語教師として働くには、①大学・大学院で日本語専門課程を修了、②420時間日本語教師養成講座の修了、③日本語教育能力検定試験の合格のうちどれが必要になるのでしょうか。

海外で働くための日本語教師の必要資格

海外で働くためには、日本語教師の資格(大学・大学院で日本語専門課程を修了、420時間日本語教師養成講座の修了、日本語教育能力検定試験の合格)のうちどれが必要になるのでしょうか。

結論としては、海外では日本国内と同様に必ずしも上記の日本語教師の資格が必要になるわけではありませんが、3つのうち1つが求人の応募条件になっていることが一般的です。

ただ、海外では日本国内とでは知っておくべき下記のポイントがあります。

  • ワークビザ取得には四大卒の資格が必要
  • 検定試験の合格だけでも就職がしやすい

ワークビザ取得には四大卒の資格が必要

国や地域によって違うことがありますが、基本的にワークビザ取得には四大卒が求められます。この四大卒は日本の法務省公示校で日本語教師として働く場合と同じですね。

ただ、日本と同様に四大卒といっても日本語課程の修了は必要がありません。学校が指定されている場合がありますが、単に四大卒であればいいことも。

もし、四大卒でなければワークビザのサポートを受けられるかを事前に現地校に確認しておきましょう。

検定試験の合格だけでも就職がしやすい

日本で日本語教師として働く場合には、基本的に検定試験の合格だけでは就職などが難しく、教育訓練を受けていることが前提です。

ただ、海外で日本語教師として働く場合には、国や地域によっては人員不足で経験者が応募してこないことも。

そのため、試験の合格だけの未経験でも採用される可能性があります。

ただし、教え方の違い(教授法や間接法など)に注意する必要があります。

間接法だった場合、募集している国の現地語や英語が必要となるケースなども。

日本語教師になる資格を取得するには?

実は、日本語教師として働くために資格は必要ありません。ただ、多くの求人情報では資格の取得が条件になっています。

実際に日本語を教える資格を得るためには、以下の3つの方法があります。

  1. 大学や大学院で日本語課程の修了
  2. 420時間日本語教師養成講座の修了
  3. 日本語教育能力検定試験の合格

1.大学や大学院で日本語課程の修了

大学や大学院で日本語教育の課程を修了する方法です。特に、公示校と呼ばれる日本語学校で日本語教師として働くには四大卒が必要です。

もし、四大卒の資格を持たれていない方や日本語を基礎から学問として学びたい方向けですね。

ただ、40代から大学や大学院に入りなおすのは簡単ではないかもしれません。

2.日本語教師養成講座を修了

四大卒あれば、420時間の日本語教師養成講座を修了するのが王道です。模擬授業もたくさんあるので、教育経験がない方でも実践を積むことができます。

ただ、費用が受講料として約50万円以上はかかる上に、最低でも6ヶ月ぐらいはかかるのが難点です。

なお、どの講座がいいかは、別コラムのおすすめの費用の安い日本語教師養成講座も参考にしてください。

3.日本語教育能力検定試験の合格

日本語教育能力検定試験の合格は、費用が養成講座と比べると安く、独学でも受験できるのが魅力です。

ただ、合格率が約26~30%と民間レベルの試験としては難しい上に、年に1回しか受験できません。

なお、どの講座がいいかは、別コラムのおすすめの日本語能力検定試験の対策講座をどうぞ。

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海外の日本語教師求人を見つける方法

海外で日本語教師求人を見つける主な方法は、以下の5つです。

  • 日本語教師専門の求人サイトで探す
  • 日本語教師向け合同説明会に参加する
  • 日本語教師養成校から紹介を受ける
  • 日本語補習校や個人塾にアプローチする
  • JAIC(青年海外協力隊)に応募する

日本語教師専門の求人サイトで探す

日本語教師の求人を探す上で一般的なのが、専門の求人サイトで探す方法です。

まずは、日本語教師の海外求人を定期的にチェックするのが基本

有名なサイトとしては、以下のとおりです。

あとは、普通に「日本語教師+国名+求人」などで検索する方法もありますね。

日本語教師向け合同説明会に参加する

実は年数回、日本語教師向けの合同説明会が開催されていることがあります。求人を応募したい日本語学校などが集まって、合同で説明会を開く場合があります。実

その場合には日本だけではなく、海外からの求人があります。例えば、有名な合同説明会では「NIHON MURA×さんぽう」が主催していて、年に1~2回実施されているようです。

日本語教師養成校から紹介を受ける

日本語教師養成講座を学校によっては、下記のように海外の求人を紹介してもらえる場合もあります。

  • 現地の日本語学校への斡旋
  • 現地の提携校に教師を派遣
  • インターンシップ(基本、無給)

日本語補習校や個人塾にアプローチする

日本語を教えることができる職場として考えられるのが、日本語学校以外にも日本語補習校や個人の塾です。

特に、日本語補習校や個人の塾では未経験でも採用してもらえる可能性も。意外と求人が出ていなくても学校に履歴書を渡しておくのも方法のひとつです。

採用されるかどうかは、その職場の状況によっても違うので、とりあえずアプローチすることが大切。

青年海外協力隊の求人に応募する

青年海外協力隊の求人に応募し採用されれば、現地での生活費や交通費も負担してもらえ、任務完了後には手当ももらえることも。

実際に私の知り合いの先生は青年海外協力隊に合格し、トンガに派遣されました。希望する国・地域に派遣させるとは限りませんが、資格があれば未経験でも派遣されることもあります。

海外で日本語教師として働く国の選び方

海外で日本語教師として働く国の選び方は、下記のとおりです。

  • 日本語の学習者が多い国から選ぶ
  • 渡航経験や馴染みがある国を選ぶ
  • 給料や待遇条件が良い国から選ぶ
  • 日本語の学習者の目的で国を選ぶ
  • 英語を使うなら英語圏の国を選ぶ

日本語の学習者が多い国から選ぶ

2018年度 国際交流基金の調査によると、海外の日本語学習者が多い国ランキングは下記のとおりになっています。

ランキング国名学習者数
1位中国約100万人
2位インドネシア約70万人
3位韓国約53万人
4位オーストラリア約40万人
5位タイ約18万人
6位ベトナム約17万人
7位台湾約17万人
8位アメリカ約16万人
9位フィリピン約5万人
10位マレーシア約4万人
引用:2018年度 国際交流基金 調査より作成

ランキングをみてみると、圧倒的に中国での日本語学習者が多いことが分かります。ただ、近年は6位のベトナムの増加率が3年前の調査よりも約1.9倍となっています。

こういった学習数が多いだけで国を選ぶわけではないですが、それでも需要がある国ではチャンスが多いのも事実でしょう。

渡航経験や馴染みがある国を選ぶ

ワーホリや旅行などで渡航経験や既に生活してみたい国を選ぶのも方法のひとつです。私はニュージーランドに在住していましたが、再び生活したいと考えています。

さらに、最近は韓国ブームもあり、日本からも近い韓国で日本語教師として働きたい方が多いという話を聞いたことがあります。ただ、逆に日本語教師が増えると就職しにくくなる側面もありますね。

給料や待遇条件が良い国から選ぶ

日本語教師に限らず、海外在住者になると現地で生活するだけでなく、貯蓄ができることも大切です。

特に、アジア圏では給料が特に低く、生活できても貯蓄しにくいとされているので、現地の給料水準を調べて選びましょう。

日本語の学習者の目的で国を選ぶ

ベトナムやタイなどでは日本での就労目的の学生が多いですが、オーストラリアなどでは就労目的ではなく、マンガなどの趣味に近い感覚で日本語を学ぶ生徒も多いでしょう。

そのため、せっかく日本語を真剣に教えていても、学習者の目的の違いで教えるモチベーションがなくなってしまうこともあります。

英語を使うなら英語圏の国を選ぶ

日本語教師と働くといっても、必ずしも現地の言語が話せる必要はありません。ただ、現地での生活を考えると、その国の言語が話せるほうがいいのは当たり前です。

ただ、ベトナムやタイなどでは英語は使えず、現地の言語を覚える必要があります。そのため、すでに英語が使えるならオーストラリアなどの英語圏の国を選ぶのも選択肢になります。

海外で日本語教師になる国を選ぶ際は求人のタイミングもありますが、海外生活を考えるなら事前に日本語教育の現状を調べておくことが大切です。

いざ現地に渡航したものの、後悔してしまうことにもなります。そのため、希望する国の求人が出ればいつでも動けるように準備しておきましょう

【国・地域別】日本語教育環境の特徴

海外で日本教師として働く上で人気の国の特徴をまとめてみました。

韓国で日本語教師

日本語教育機関が多い国。若い人なら英語を使える人も多いので、生活になじみやすく、日本から近いもの魅力です。

ただ、一部に日本に対して悪いイメージを持っている人も多いのも事実です。ワーキングホリデーの対象国ですが、日本語教師として働けないという話もあります。

中国で日本語教師

日本語教師数が一番多い国。地域によりますが、物価も安く生活がしやすいのが魅力。ただ、物価が安い分、お給料も低いところが多いです。なので、貯金がしにくいという問題があります。

中国語を話せる日本語教師も多いのが特徴です。ただ、中国語ができないと生活で不便に感じることも。

台湾で日本語教師

日本から距離的にも近く、日本との交流が多い国。中国語ができれば生活しやすくなります。

授業も一般的に1コマ1時間~2時間と長いのが特徴です。台湾もワーキングホリデーの対象国なので人気があります。

タイで日本語教師

親日の国ともいわれている物価が安いタイ。給料も高くはないですが、生活費が安いので暮らしやすいといえます。

ただ、英語が使えない人も多いので、日常生活の会話は困ることも。

発展途上国で日本語教師

インドネシアやベトナムなどの発展途上国として日本に来日して働きたい人が多い国。日本でも学生が多い国籍です。

将来、日本で日本語教師になる際にも経験が役立つことも。生活費が安いですが、治安が少し心配なところ。

英語圏で日本語教師

オーストラリアやニュージーランドはワーキングホリデーの対象国なので、ワーホリビザを取得して現地で仕事を探すこともできます。

物価は高いので生活はしにくい面がありますが、英語も学習したい人に人気です。

ただ、学生は来日して働きたいというよりも趣味の部分もあるので、学習の本気度が低くなる傾向があります。

あとは欧米圏で日本語教師をしたい人は多く、完全な買い手市場です。大学院を出て、英語が堪能で、他の国の大学で教えたことがある人でも、仕事を見つけるのは簡単ではありません。

ただ働けるビザのある人は、かなり有利になるでしょう。ワーキングホリデービザとか、オープンワークビザとか、配偶者ビザとか、永住権とかです。

こういうビザでまずはなんとか働くきっかけをもらって、そこからつなげていくという方法も考えられるでしょう。

海外で日本語教師として働くメリットとデメリット

海外で日本語教師として働きたいなら、メリットとデメリットも知っておきましょう。

海外で日本語教師として働くメリット

ここでは、海外で日本語教師として働くメリットを紹介します。

  • 外国語が堪能である必要はない
  • ワークビザが取得しやすい職種
  • 海外経験が帰国後に活かせる

外国語が堪能である必要はない

英語などの語学が得意ではない人にとって、日本語で仕事が出来る環境を望む人も多いでしょう。

特に、日本国内と同様に直接法で日本語を教える場合には、英語が特に流暢に話せる必要はありません。

ただ、海外生活を楽しむ、日本語学習の初級者が多い場合は英語ができるほうが理解度が進みやすいでしょう。

なお、日本語教師と英語力の関係は、別コラムの【日本語教師に必要な英語力はコレ!】英語ができないとダメ?でお伝えしています。

ワークビザが取得しやすい職種

海外で働いて給料をもらうのには、一般的に労働ビザが必要になります。とはいえ、外国で働くには現地で必要とされる職種が優先されます。

そうなると、日本語を教えるのであれば日本語教師が一番ということで、ワークビザが取得しやすい傾向があります。

海外経験が帰国後に活かせる

帰国後に日本語学校で就職するに際しても、海外経験があり、さらに日本語を教えたスキルがあると有利になるでしょう。

実際に教える経験が少なかったとしても、海外で日本語教師として日本語を教えた経験はスキルよりもはるかに大切にされます。

もちろん、海外で日本語教師をするデメリットもあります。次に、デメリットもご紹介しておきましょう。

海外で日本語教師として働くデメリット

次に、海外で日本語教師として働くデメリットも紹介します。

  • 国や地域によっては給料や年収が低い
  • 学習者のモチベーションに差がある
  • 日本語を教える技術が身につきにくい

国や地域によっては給料や年収が低い

海外で日本語教師になると、給料が現地採用の一番下のランクであることが多いです。

現地で生活する分には充分なのですが、現地でも日本並みの生活レベルを保ちたいとなると、副業をするしかないと思います。

これに関しては、求人情報に年に一度の帰省チケット支給などと表記があるので、気をつけましょう。

あとは、住宅費やビザ費用も支給とそうでないのとでは、生活に差が出てきてしまうので、よくチェックしましょう。

学習者のモチベーションに差がある

国・地域によりますが、日本国内のように就職や進学をしたい学習者だけではなく、多くは趣味や日本に興味を持つ人が多いとされています。

そのため、学習者の日本語を学びたいという意識が低い場合があるので、いくら一生懸命に教えても反応が薄いというケースもでてきます。

日本語を教える技術が身につきにくい

現地の日本語を教える環境によりますが、学校に日本語教師が少ない場合や本人1人だけということも

指導の経験が少ないと、参考になる技術を学ぶ機会が少なくなってしまうので、経験を上手に活用できないことにつながりやすいでしょう。

海外で日本語教師になる時のよくある質問

海外でも日本語教師は国家資格になれば有利?

現在、日本語教師が国家資格になるのは令和6年度の予定で検討がされています。

もちろん、国家資格になれば有利です。ただ、そもそも海外では日本語教師が不足してるので、そこまで求められない可能性があります。

なお、日本語教師の国家資格化については、登録日本語教員の最新情報のコラムをどうぞ。

海外で日本語教師だけでは食べてはいけない?

国や地域により給料が安い国や地域もありますが、物価も安いと海外生活には困らないことも多いでしょう。ただ、貯蓄ができないと問題です。

逆に、時給が高い国や地域を選んで日本語教師になるのも選択肢のひとつ。日本で日本語教師をするよりも年収が高くなることもあります。

海外で日本語教師として働く方法まとめ

今回のコラムでは「【日本語教師が海外で働くには?】必要資格と求人の見つけ方」をご紹介しました。

もし、一般的な仕事で海外で働こうと考えるとハードルも高く、帰国後も活かせるとなると、さらに限定されてしまうでしょう。

そのなかで、「日本人の特性が活かる」「現地の言葉が必須ではない」「労働ビザも取得しやすい」「帰国後も経験を活かしやすい」というメリットは大きいと言えますね。

海外で日本語教師を目指してみましょう。

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